活性化する組織。それはクロスファンクショナルマネージメント

かつて、野田が在籍していた日産グループ。私が退職する、2日前にカルロスゴーンさんがCOOに就任したんです。そして、その日産が見事に復活を成し遂げました。
僕が日産にいたときには有利子負債2兆5000億円に達し、にっちもさっちも行かなかったのに、ものの見事に負債を解消し、そして利益を過去最高にしたのでした。
なぜできたのでしょうか?
そのヒントは、クロスファンクションチーム(C.F.T.)という、方法でした。
これは、昔からある方法で、縦割り組織、組織の壁とか言われるように、どうしてもセクショナリズムというのが出来上がるのが組織です。それをぶっ壊すのに成功したのがCFTでした。
では、昔から手法としてはある、クロスファンクショナルマネージメントが行政や他の大企業にはできず、なぜ日産だけできたのでしょうか?
それは、下記の4つの理由だと思うのです。
・権限
・目標
・BIなど統一の何か
・徹底的な裏づけ
どういうことか?
■ 権限
CFTに圧倒的な権限を与えたこと。
権限がないと、となりの部署の人が自分の部署のことを提案、提言しても、どうしても後回しの対応になってしまう。だから、それを払拭するための権限を与えたのです。
なので、CFTメンバーはその部署のトップが兼任していたのです。これだけでも本気度が伺えます。
■ 目標
これは、当たり前のことのようですが、ほとんどの組織、個人の目標は達成したかどうか判断がしにくい抽象的なものが目標になっています。
例えば、昔の日産なら2002年までにより多くの新車を投入することを検討するとか工場閉鎖を検討するなど。
それが、今回は2002年までに新車22車種投入。2002年までに3工場閉鎖などのように目標が数値化されていました。
そういえば以前、勉強会でこんなことがありました。目標を若手の人と確認していたのですが「よりよい生活する」というのが出ました。これは、これでいいのですが、1年たったとき、できたかできなかったかわからないものは、達成感や反省点が出てこないので、次の発展につながらないようなのです。その点、ゴーンさんはさすがです。
■ BIなど統一の何か
日産車体という会社を卒業し船井総研に移った後、因果なもので日産の販売網のコンサルティングをさせていただいたことがあるのです。
そのときにすごく感じたのですが、まだまだ有利子負債があり大変なときに全国、3000店舗(当時)を改装し、BI(ブランドアイデンティティ)を統一していったのです。この統一したデザインがすごいのではなく、すごく感じたのが物理的なもの(看板など)を、新しくすると、そこに携わっている人たちの気持ちも新たに何かが変わるんだという気持ちが芽生えることに驚いたのです。
だから、何か新しいことをはじめるときには新しいシンボルを作るというのはすごく大切なことだと思うのです。
■ 徹底的な裏づけ
横ぐし的な横断改革をする場合、うまくいくところとそうでないところの違いはどうも裏づけにあるように思います。CFTが3ヶ月でリバイバルプランという再生計画を立てたとき、すべての部署はこれをやりきるんだという風潮になったそうです。
それはなぜ?
うまく行かない組織は、目標の提示に対しこれどうやってやるんだ?こんなのできない?という言葉が出てきます。
それに対してリバイバルプランは、すべて裏づけがあったのです。だから、やり切れたし、誰もが横槍的発言ができなかったのです。これは、簡単そうで、中々できません。現に、CFTは3ヶ月徹夜が続くぐらい検討したそうです。裏づけの大切さです。
やろうだけの目標宣言だけでは、人はついて来ないというのもよくわかります。ゴーンさんが就任した直後のころ、会議でゴーンさんが言ってた言葉を先輩に教えてもらいました。
今までの会議は「目標に対しての未達理由はこうこうこうです」と、理由の説明が多かったそうです。それが、ゴーンさんは「行かなかった理由はいいから、これからどうするかを説明してくれ」と、なぜ行かなかったではなくこれからどうするか?納得です。その、ゴーンさんの言葉です。
部分最適で考えていたから、できない理由が出てきてしまったが、クロスファンクションチームという全体最適を前提にした。
「わかりやすい人間であれ。明晰な言葉で説明せよ。やると言ったことはやり遂げなさい」
・各チームに共通のゴールをひとつ設定。
・すべてのチームに、聖域、タブー、制約、および日本・欧州・北米の文化的相違に起因する障害は一切排除するという共通のルールを設定。
何かをやり遂げるには理由が必ずあるのですね。
■ 生き残れる企業の条件は、結ぶ能力
老舗企業とは、通常創業100年以上のことを言うようです。その100年以上企業はどれくらいの割合かというと帝国データバンクの保有するデータ124万社の中1912年、明治最後の年までに創業した会社は2万4234社あるとしている。その比率は、2万4234社÷124万社 = 1.95% そして、老舗企業の研究という本では10万社だと 10万社÷285万3438社 = 3.5%
老舗企業の研究
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http://nodabook.noda-net.com/?
つまり100年以上続いている割合は2~3%という確率なんですね。
その続いている企業を分析すると56.3%が創業時からの主力事業を変更、商品・サービスに関しては70%以上が変更というように、どうも「変わる」というのが続く条件のようです。ちなみに東証一部上場企業の平均社齢は、57歳。けっこう長続きしないものです。
では、どう変わってきたのか?
例えば、フジフィルム。フィルムの売上げ比率は今2%。現在売上げトップは、医療機器。
日清紡績。紡績の売上げより太陽電池の売上げの方が高い。
一時期、世界NO1売り上げのノキアは携帯電話の会社。しかし144年前の創業時は紙製品の会社。
変わることが条件なのです。
で、変わらなかったポラロイドという会社は絶好調の2年後に1回目の破綻というように、生き残る条件は変わるということのようです。では、変わるためにはどうしたらよいのでしょうか?
フジフィルムは、フィルムからスタートし、X線フィルムそこから医療機器に発展。
日清紡は繊維から繊維であるブレーキのパッド、そして自動車部品、そして太陽電池のように進んだ。
つまり、変わっていく近道は周辺のものを発展させて行くのがよいようなのです。
円が重なり次の円次の円になり、最終的に見ると、初の円(最初の事業)と今の円(今の事業)がまったく違い領域になっているよう変わるのが条件。変わるには事業を結び付けていく能力が必要なのです。
そして変わるためには
◯ 自身を知る 売上比-粗利率・伸び率・販売数
◯ 取引先の変化を知る
☓ かけ離れたものは失敗することも
それでも、変われないなら人を変えてみる、そして異見(異なった見方)に耳を傾けるのが大事のような気がします。
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【野田宜成】たったの5分、心と財布が温かくなる経済学
2015/04/23 00686号より
